最終回は、確定申告のやり方について見ていきましょう。
自分の住所地を管轄する税務署に申告します。受付は原則として平日のみですが、一部の税務署では特定の休日にも受付を実施します。事前に確認しておきましょう。
今回からの大きな変更点は、マイナンバーが必要になることです。
申告書にマイナンバーを記入し、提出の際には以下のどちらかの資料でマイナンバーを照合することになります。
・マイナンバーカード
・マイナンバーカードがない場合は、マイナンバー通知カード+運転免許証など
(郵送の場合はコピーを同封)
ところで、確定申告期間の開始前や終了後でも、申告書は提出できるのでしょうか。
期間前でも申告書を提出することはできますが、納税額が確定するのは申告期間が始まってからになります。一方、期間を過ぎてから申告すると、ペナルティとして延滞税などが上乗せされてしまいます。期限を守って申告しましょう。
なお、還付を受ける場合は、該当年の翌年の1月1日から5年間、申告できます。年が明けたらすぐ申告でき、しかも5年前の所得税まで取り戻せるということですね。
・申告書の作成方法
確定申告で必ず作成する「確定申告書」は、AとBの2種類があり、所得の種類によって使い分けます。所得が給与や年金だけの場合は「申告書A」(会社員は主にこちら)、事業所得や不動産所得などがある場合は「申告書B」(個人事業主は主にこちら)を使用します。
また、個人事業主の場合は、事業の収支に関する書類も必要になります。
【これらの書類の作成については、以下のようなやり方があります。】
・白紙の申告書を最寄りの税務署で入手し、手書きで記入
・国税庁のサイト(www.nta.go.jp)にある申告書のPDFファイルを印刷し、手書きで記入
・国税庁サイト内の「確定申告書等作成コーナー」で、画面にしたがって金額等を入力して作成←おすすめ!
・記帳に使用している会計ソフトで作成する
・税務署に行き、係員と相談しながら作成する
自宅で作成した申告書は、税務署に持参するほか、郵送や電子申告(e-Tax送信)でも送れます。確定申告期間中の税務署は大変混雑しますので、申告書はできるだけ自宅で作成し、税務署に出向くなら最終確認だけをやってもらうことをおすすめします。上で紹介した「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、途中の保存ややり直しもでき、記入欄を間違えることもなく、かなり簡単に作成できます。
・住民税の申告も兼ねている
意外と知られていませんが、確定申告の情報は、所得税だけでなく、市区町村が徴収する住民税の算定にも使用されます(実は年末調整もそうです)。平成28年分の確定申告は、29年6月から徴収される住民税に影響します。なお、住民税は、所得税と異なり、税額が確定してから徴収される、いわば「後払い」なので、控除の申告をしたからといって「還付金」が戻ってくるわけではなく、納付する金額そのものが低くなるということになります。
・困ったときは
最後に、確定申告でわからないことが出てきたときの相談先を、いくつか紹介します。
質問内容がはっきりしている場合は、直接税務署に問い合わせるとよいでしょう。平日に限られますが、電話でも相談できます。
資料を見ながら、ある程度時間をかけて相談したい場合には、1月下旬頃から2月にかけて全国各地で開催される、税理士会による相談会を利用するとよいと思います。ネットや自治体の広報などに日時や場所の情報が載るので、チェックしてみましょう。
税務署や税理士会の相談会は、無料で利用できますが、質問できる内容は限られます。ふだんの経理業務や税金対策などについても相談したい、という場合には、青色申告会に入会することをおすすめします。全国各地にあり、いつでも入会できます。
青色申告会に入会すると、個々の事業主の状況に合わせて、日常の記帳から、家事按分や共済加入などの正当な節税策、そして確定申告まで、さまざまなアドバイスを受けられます。会費がかかりますが、税理士と契約するよりはずっと安上がりですし、全額必要経費として計上できます。
筆者の知人は、確定申告の際、会計ソフトのデータと帳票類を青色申告会に持参すると、相談員がマンツーマンでついてくれて、帳簿のチェックから申告書の作成・送付(その場で電子申告できる)まで、1時間ほどで完了するとのことです。混雑する税務署に行くよりずっと楽だし、帳簿を細かく見てもらえるので、会費を払う価値は十分あると話していました。
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