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派遣社員・個人事業主の確定申告入門(第2回)

今回は、個人事業主の確定申告について見ていきましょう。
個人事業主は、事業に関する1年間の収入と支出などを自分で集計し、申告書を作成します。

◆「青色申告」と「白色申告」

確定申告には、青色申告と白色申告という、2種類の制度があります。

一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて申告をする場合、所得の計算などについて有利な取扱いが受けられる制度があり、これを「青色申告」といいます。

「青色申告」でないものを「白色申告」といいます。

青色申告をする場合は、事前に申請が必要です。青色申告の適用を受けたい年の3月15日までに申請します(実際に確定申告するのはその翌年になるので注意)。1月16日以後に新規開業して、その年から適用を受けたい場合は、開業日から2か月以内に申請します。申請をしないと自動的に白色申告になります。帳簿などの条件を満たしていても、申請しないと青色申告にはならないので注意しましょう。

なお、一度申請をすれば、青色申告を取りやめる申請をしない限りは有効です。

青色申告には、次のようなメリットがあります。
・青色申告特別控除65万円(複式簿記の場合。簡易簿記も選ぶことができ、その場合の控除額は10万円)
・赤字(純損失)を繰り越せるこれらのメリットは、白色申告にはありません。そのうえ、青色申告にも白色申告にも、記帳と書類保管の義務があります。以前は、所得が少ない場合、白色なら記帳の義務がなく、極力手間をかけたくない個人事業主にとっては、白色を選ぶメリットになっていたのですが、現在はそのメリットもありません。白色でも最低限の記帳は必要であることを考えると、簡易簿記でも10万円の所得控除を受けられる、青色申告への切り替えを検討する価値はありそうです。

◆複式簿記と簡易簿記

「複式簿記」と「簡易簿記」という言葉が出てきました。事業をする人にとっては避けて通れない「記帳」のやり方について、ちょっと説明します。

「簡易簿記」は、現金出納帳や売掛帳などの「簡易帳簿」に、日付・金額・内訳を、小遣い帳のような形で記帳します。
「複式簿記」では、「仕訳帳」と「総勘定元帳」という必須の帳簿があり、現金出納帳や売掛帳などは補助的な扱いになります。そして、複式簿記の規則にしたがってすべての取引を記録します。

また、申告時に作成する書類にも違いがあり、簡易簿記では決算書のうち「貸借対照表」を作成しません。

複式簿記は習得するのが難しい、というイメージがあるかもしれませんが、実際には、規則の難しさよりも、正しく記帳する大変さの方が勝っていたりします。正直な話、月に10件ほどの取引でも、手作業で記帳するのはけっこう面倒で、会計ソフトの助けを借りたくなると思います。
逆に、会計ソフトを使用すると、仕訳帳さえきっちり入力していれば、総勘定元帳は自動的に作成され、決算書もすぐに作れます。むしろ、会計ソフトを使いながら複式簿記に慣れていくのがよいかもしれません。

最終回となる次回は、確定申告のやり方について取り上げます。また、確定申告や日々の経理業務について、困ったときの相談先も紹介します。

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